モンゴル国

モンゴル国への初めての訪問は2009年の夏。東京文化財研究所の海外協力事業への招聘を受け、現地の文化遺産センタースタッフのためのワークショップに、建築彩色の講師として参加したのが始まりです。環境や手法は異なるものの、施工技術者の視点による講義と実技をさせていただいたことがきっかけで、現地で実際の調査や保存作業にあたるスタッフに興味を持っていただき、その後も人的交流を続けることになりました。

 

大きな転機が訪れたのは2012年。塗装の試験施工為に現地を訪問中、現在発掘作業が終わったばかりであるという墳墓の写真を見せていただき、日本での遺構に関する壁画の保存処理や調査についての知見や施工実績を尋ねられました。

その写真には、日頃我々が目にしたことが無い古い時代の図像が写っており、興味のあまり無謀にも視察を依頼したところ、滞在期間中に現地を訪問する機会を得ました。

 

それがモンゴル国初となる、壁画を有する地下墳墓「オラーンヘレム壁画墓」で、実際のスケールと図像に圧倒されると同時に、その脆弱さと予算不足に起因する不十分な保存環境下の消失を懸念しました。そこで現状で可能な調査に関して協力を申し出たところ、一民間業者としては異例となる、文化遺産センターとの直接契約による調査の機会を得、2013年から約2年をかけて現地調査および復原図等の制作を行いました。2015年の年末には、この調査に関る朝日放送のドキュメンタリー放送への取材協力、また2016年初秋には、奈良県立橿原考古学研究所附属博物館での展示会において、制作物を含む調査の変遷と実績の展示協力をさせていただきました。

オラーンヘレム壁画墓ギャラリー

墳墓概要

調査風景

青龍

白虎

楼閣

武人・宦官

牽馬図

縦坑

墓室(樹下人物図)

復原画制作


©彩色設計・モンゴル国立文化遺産センター

©彩色設計・モンゴル国立文化遺産センター

©彩色設計・モンゴル国立文化遺産センター

©朝日放送・モンゴル国立文化遺産センター・彩色設計

©朝日放送・モンゴル国立文化遺産センター・彩色設計

モンゴル国ギャラリー

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